住宅ローン控除の手続きを確認する男性
住宅ローンを組んでマンションを購入した場合、一定の条件を満たせば所得税・住民税が毎年軽減される制度があります。これが「住宅ローン控除」または「住宅ローン減税」です。中古マンションでも使えますが、新築より借入限度額が低く、耐震要件や床面積要件も絡むため、条件の整理が欠かせません。
2026年4月時点では、2025年入居分までのルールは国税庁のタックスアンサーで確認できる一方、2026年入居分以降の延長・拡充は国土交通省が改正方針を案内している段階です。この記事では、その2つを分けて整理します。
まず押さえるべきポイント
この記事のポイント
- 2022〜2025年入居分の中古住宅は、原則として借入限度額2,000万円・控除期間10年です。
- 中古住宅でも住宅ローン控除は使えますが、新耐震または耐震適合の証明が必要です。
- 2026年入居分以降は、省エネ性能の高い既存住宅を優遇する延長・拡充方針が案内されています。
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住宅ローン控除の基本的な仕組み
住宅ローン控除:申請の流れと中古住宅の控除上限
住宅ローン控除は、年末時点のローン残高に一定の控除率を掛けた金額を、その年の所得税から差し引ける制度です。差し引いた後に所得税で引き切れない分は、住民税からも控除されます(上限あり)。
2022年の改正で控除率は1.0%から0.7%に引き下げられました。なお、2022〜2025年入居分では、新築住宅等は原則13年、既存住宅は原則10年です。中古住宅まで一律13年になったわけではありません。
控除の上限は、ローン残高ではなく「借入限度額」によって設定されています。この借入限度額が物件の種別(新築か中古か、省エネ性能のランクなど)によって異なり、中古マンションは新築に比べて上限が低く設定されています。
中古マンションへの適用条件
2022年改正後、中古住宅に住宅ローン控除を適用するための主な条件は以下の通りです。
引渡しを受けた物件が自分の居住用であること、ローンの返済期間が10年以上であること、合計所得金額が2,000万円以下であることは基本要件です。これに加え、中古住宅固有の条件として、耐震基準への適合が求められます。
国税庁の現行整理では、1982年1月1日以後に建築された住宅は原則として対象です。それ以前の住宅でも、取得日前2年以内の耐震基準適合証明や、要耐震改修住宅として入居までに耐震改修を完了する手続などを満たせば対象になり得ます。
床面積は50㎡以上が原則です。40㎡以上への緩和は、2026年入居分以降に既存住宅へも広げる方針が国土交通省から案内されていますが、2026年4月時点では国税庁の個別ページはまだ2025年入居分ベースです。
借入限度額と控除期間
2022〜2025年入居分の基本枠組み
中古マンション(一般の既存住宅)の借入限度額は2,000万円、控除期間は10年間です。新築・省エネ住宅と比べると、控除の恩恵は限定的です。
借入限度額2,000万円・控除率0.7%で計算すると、年間の最大控除額は14万円です。ただし実際には、年末のローン残高が2,000万円を下回れば、その残高に0.7%を掛けた金額が上限になります。たとえばローン残高が1,500万円であれば、その年の控除額の上限は1,500万円×0.7%=10.5万円です。
一般の既存住宅であれば、10年間で最大140万円の税負担軽減になる計算ですが、実際には所得税・住民税の金額が控除額の上限になるため、納税額が少ない場合は満額を享受できません。
2026年入居分以降の改正方針
国土交通省は、令和8年度税制改正の方針として、住宅ローン控除の延長・拡充を案内しています。主なポイントは以下の通りです。
一方で、2026年4月時点では国税庁のタックスアンサーはまだ2025年入居分の記載が中心です。2026年入居分の正確な申告実務や細かい区分は、国税庁の更新を必ず確認してください。
一般の既存住宅(省エネ基準に適合しないもの)は、少なくとも従来の2,000万円・10年を基準に見ておくほうが安全です。中古マンションを買うときは、省エネ性能の確認が控除額に直結すると考えておくと判断しやすくなります。
なお、2024年(令和6年)1月以降に建築確認を受けた新築住宅で省エネ基準に適合しないものは住宅ローン控除の対象外となります。また、災害レッドゾーン(土砂災害特別警戒区域等)内の新築住宅も令和10年以降は対象外です。
所得税・住民税との関係
住宅ローン控除は「税額控除」であり、課税所得ではなく「税額そのもの」から差し引かれます。そのため節税効果は直接的で、たとえば所得税が年間15万円であれば、最大15万円が還付される計算です。
引き切れない分は住民税から控除されますが、住民税からの控除上限は課税総所得金額等の5%(最高97,500円)です。所得が低く所得税が少ない世帯では、控除を使い切れないケースもあるため、自分の所得と税額から逆算して実質的な恩恵を見積もることが重要です。
年収500万円のサラリーマン(独身・扶養なし)の場合、所得税の目安は20万〜30万円程度です。借入2,000万円・控除額14万円であれば所得税内で収まるため、ほぼ満額の恩恵を受けられます。一方、年収350万円の場合は所得税が10万円前後に収まることもあり、残りは住民税から控除するか、一部が控除しきれなくなります。
手続きの流れ
住宅ローン控除を受けるためには、購入翌年に確定申告が必要です。会社員でも初年度だけは自分で申告しなければなりません。2年目以降は会社の年末調整で処理されます。
申告に必要な書類は、住宅借入金等特別控除額の計算明細書(税務署で入手またはe-Taxで作成)、登記事項証明書(法務局)、売買契約書(コピー)、住宅ローンの年末残高証明書(金融機関から送付)、源泉徴収票(会社から受け取るもの)、中古住宅の場合は耐震基準適合証明書または既存住宅売買瑕疵保険の保険証券(旧耐震の場合)です。
これらを揃えて、原則として翌年2月16日から3月15日までの確定申告期間中に申告します。e-Taxを使えば自宅から申告しやすくなりますが、添付書類の扱いは申告方法によって異なるため、提出画面の案内を必ず確認してください。
申告後、数週間以内に所得税の還付が指定口座に振り込まれます。住民税の控除は、翌年度の住民税から引かれる形で反映されます(還付ではなく減額)。
月々の返済額を試算する
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注意が必要なケース
確定申告後、転勤や転職などの理由で物件を賃貸に出した場合、その年以降の控除は受けられなくなります。自分の居住用でなくなった時点で適用要件から外れるためです。また、売却した場合は残りの控除期間があっても終了します。
ペアローンの場合は、それぞれの名義人が個別に控除を申請します。夫婦でそれぞれ借入を持ち、それぞれが居住者であれば、各自の借入残高に対して0.7%の控除が適用されます。ペアローンを活用している場合は、2人分の控除額を合算した恩恵が見込めます。
千葉の中古マンションで試算してみると
船橋エリアで購入価格3,500万円の中古マンション(1981年以降の新耐震、耐震基準適合証明書あり)を、自己資金500万円・ローン3,000万円で購入したとします。ローン残高は毎年減少するため、初年度の控除額は3,000万円×0.7%=21万円になりますが、借入限度額2,000万円の上限があるため、実際には2,000万円×0.7%=14万円が上限です。
10年間で合計すると最大140万円前後の税還付・減額が見込まれます(実際の残高・納税額による)。この金額は、購入時に支払う仲介手数料や登記費用の一部をまかなえるほどの規模です。住宅ローン控除を活用することで、実質的な購入コストを下げることができます。控除の恩恵を正確に見積もった上で、借入額・頭金のバランスを計画してください。
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