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相続した不動産を売るには?手続き・税金・注意点を完全解説【2026年版】

BayMap編集部12分で読める

2024年4月から義務化された相続登記をはじめ、相続した不動産の売却手順・遺産分割協議・3000万円特別控除・譲渡所得税まで徹底解説。千葉県の注意点も詳しくまとめました。

「親が亡くなって実家を相続したが、どうすればいいかわからない」「相続人が複数いて話し合いがまとまらない」「相続した物件を売りたいが、手続きが複雑で動けない」——そういった悩みは、相続を経験した多くの方が共通して持つものです。

2024年4月には相続登記が義務化され、放置しておくことのリスクは以前より大きくなっています。このガイドでは、相続した不動産を売却するための手順と、千葉県ならではの注意点を整理します。


相続不動産の売却が難しい理由

相続した不動産の売却が通常の売却と異なるのは、複数の手続きが並行して発生するからです。

相続不動産売却の4つの難しさ
名義変更が必要

被相続人名義の不動産を売却するには、まず「相続登記」で相続人名義に変更する必要があります。登記が完了していない不動産は原則として売却できません。

全員の合意が必要

遺言書がない場合、相続人全員の「共有状態」からスタートします。誰か1人が「売りたい」と思っても全員が合意しなければ売却に進めません。

複数の税制が絡む

相続税・譲渡所得税・登録免許税など複数の税金が関係します。タイミングや方法によって税負担が大きく変わるため、税理士のアドバイスが重要です。

物件の状態が悪い

相続した不動産は長年空き家だったケースが多く、設備の老朽化・雨漏り・不法投棄など、売却前に整理が必要な問題を抱えていることがあります。


2024年4月 相続登記が義務化された

義務化の概要

2024年4月1日より、「相続登記の申請が義務化」されました(改正不動産登記法)。

具体的には、不動産の相続を知った日から3年以内に相続登記(所有権移転登記)を申請しなければなりません。

過去の相続も対象

この義務化は、2024年4月1日より前に発生した相続にも遡及適用されます。すでに親や祖父母から相続した不動産で登記が未了の場合、施行日(2024年4月1日)から3年以内(つまり2027年3月31日まで)に登記する必要があります。

違反した場合の罰則

正当な理由なく申請しない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

「相続人申告登記」制度も新設

「すぐに遺産分割協議がまとまらない」という場合のための「相続人申告登記」制度も新設されました。相続人の一人が「自分が相続人である」旨を申告するだけで、3年以内の申請義務を履行したとみなされます(正式な所有権移転登記は別途必要)。なお、**相続人申告登記の申告も「相続を知った日から3年以内」**に行う必要があります。


相続不動産を売るまでの5ステップ

  1. 1

    相続財産の確認

    被相続人が所有していた不動産を確認します。

    • 固定資産税の納税通知書(最新年度のもの)を確認
    • 登記簿謄本(法務局またはオンラインで取得)で正確な地番・面積・権利関係を確認
    • 土地・建物の評価額(固定資産税評価額)を把握する
    • 抵当権や差押えなどの権利関係を確認する
  2. 2

    遺産分割協議

    相続人全員が集まり、誰が何をどう引き継ぐかを話し合います。遺言書がある場合は内容に従って分割(遺留分侵害に注意)、ない場合は相続人全員の合意が必要です。協議が成立したら「遺産分割協議書」を作成し、全相続人が署名・押印します。

    意見がまとまらない場合は、家庭裁判所の「遺産分割調停」を申立てることができます。

  3. 3

    相続登記(名義変更)

    遺産分割協議書と必要書類を揃えて、法務局に相続登記を申請します。司法書士に依頼する場合の報酬は5〜10万円程度が一般的です。

    • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
    • 全相続人の戸籍謄本・住民票
    • 遺産分割協議書(相続人全員の実印・印鑑証明書付き)
    • 固定資産税評価証明書・登記申請書
  4. 4

    物件の状態確認と売却方法の選択

    相続登記が完了したら、実際に物件を確認して売却方法を決めます。確認すべきポイントは建物の劣化状況(雨漏り・シロアリ・設備)、訳アリ事情の有無、残置物の状況です。

    方法特徴向くケース
    仲介売却相場価格での売却が期待できる立地が良く、状態が比較的良い物件
    買取現況のまま数週間で売却可能築古・管理困難・遠方在住の相続人
    空き家バンク市区町村の空き家対策に協力活用目的の買い手を探したい場合
    オークション競争原理で価格が決まる相場がわかりにくいユニーク物件
  5. 5

    売却・清算・税申告

    売買契約・決済・引き渡しが完了したら、譲渡所得に対する税申告が必要です。売却した翌年の確定申告(3月15日まで)で申告し、特別控除や特例を活用して税負担を最小化します。相続人間で売却代金を協議書の通りに分配します。

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相続した空き家の3000万円特別控除

制度の概要

相続した空き家(旧耐震の一戸建て)を売却する際に、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3000万円を控除できる制度です(租税特別措置法35条3項)。

この特例を活用すると、数百万円の節税につながることがあります。

適用期限: この特例の適用期限は令和9年(2027年)12月31日までです。期限を逃さないよう早めの行動を推奨します。

主な適用要件

要件内容
物件の種類一戸建て(マンション不可)。昭和56年5月31日以前に建てられた建物(旧耐震基準)
相続前の居住状況相続開始の直前まで、被相続人が1人で居住していた(二世帯住宅など複数人居住は原則NG)
相続後の利用状況相続してから売却まで、事業・貸付・居住に使っていない
売却期間相続開始日から3年が経過した年の12月31日まで
売却価格1億円以下

2023年の改正点

2023年度の税制改正により、買い手が耐震工事または解体を行う場合でも特例が適用可能になりました。

改正前

売り手(相続人)が耐震工事または解体を完了してから売却する必要があった

改正後

売却後、売却した年の翌年2月15日までに買い手が工事を完了させれば適用可能

この改正により、「現況渡し」で売却しやすくなりました。ただし、買い手との契約書に「耐震工事または解体を実施する旨」を明記することが必要です。市区町村の確認書・届出が必要な場合もありますので、売却前に確認しましょう。

申告は売却した翌年の確定申告で行います(自動適用ではありません)。相続人が複数いる場合、各自が最大3,000万円(合計6,000万円まで)適用可能です。売却価格が取得費以下の場合(譲渡損失)はこの特例は使えません。


相続税と譲渡所得税のダブル課税に注意

相続した不動産を売却すると、相続税と譲渡所得税の両方が関係する場合があります。

相続税の取得費加算特例

相続税を払った場合、一定の条件のもとで相続税の一部を不動産の「取得費」に加算できます(措置法39条)。これにより、譲渡所得が圧縮されて譲渡所得税が減ります。

適用要件

  • 相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)の翌日から3年以内に売却すること
  • 相続税を実際に支払っていること

この特例と「空き家3000万円特別控除」は重複適用できないため、どちらを使うか慎重に判断することが重要です。一般的には3000万円控除の方が有利なケースが多いですが、物件の価格によって異なります。

取得費の計算

譲渡所得 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用

相続した不動産の「取得費」は、原則として被相続人が購入した時の価格(購入代金+取得時の諸費用)になります。購入した当時の書類(売買契約書など)が残っていない場合、売却価格の**5%**が取得費とみなされます(概算取得費)。

取得費が安いと譲渡所得が大きくなり、税負担が重くなります。古い書類の発掘(銀行の融資書類・確定申告書など)が節税に直結します。


千葉で相続不動産を売る際の注意点

郊外戸建ての価格下落リスク

千葉県の郊外エリア(市原市南部・長南町・大多喜町・南房総市など)では、人口減少と高齢化が進み、戸建て住宅の需要が著しく低下しています。これらのエリアでは、仲介でなかなか売り手がつかない状況が続いており、早期に動くほど有利です。

放置すると建物が劣化して解体費用が必要になり、土地の値段を下回るケースも珍しくありません。

液状化・浸水リスクエリアの申告

浦安市・習志野市・千葉市美浜区など、東日本大震災で液状化被害を受けた地区の物件は、リスク情報の開示が求められます。また、海岸・河川沿いの物件は浸水ハザードマップを確認し、必要な情報を買主に説明する必要があります。

相続人が遠方にいるケース

千葉の実家を相続したが、相続人は全員が関東以外の遠方に住んでいる——というケースが増えています。そういう場合は、遠方在住者でも対応できる買取専門業者に相談することで、オンライン査定・書類郵送・代理人決済などの形で売却を完了できます。

農地・山林が含まれる相続

千葉県の農業地帯(八千代市・印西市・成田市周辺)では、宅地だけでなく農地・山林を相続するケースがあります。農地は農業委員会への届出・許可が必要で、宅地とは手続きが異なります。農地の売却には「農地法3条・5条の許可」が必要で、許可なく売買しても無効になります。農地を相続した場合は、必ず農業委員会に相談してください。


よくある質問

相続登記をしていないと売却できないのですか?

はい、原則として相続登記(所有権移転登記)が完了しないと売却はできません。ただし「相続人申告登記」で義務履行の猶予を得つつ、並行して遺産分割協議と登記手続きを進めることは可能です。

遺産分割がまとまらない場合、自分の持分だけ売れますか?

法律上は可能です(共有持分の売却)。ただし価格は大幅に下がり(相場の20〜40%程度)、他の相続人との関係が悪化するリスクがあります。まずは調停などの専門的な手続きを通じて全員合意を目指すことをお勧めします。

相続税の申告期限(10ヶ月)を過ぎてしまいました。取得費加算特例は使えますか?

取得費加算特例は「相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却」が要件です。申告期限を過ぎても、その翌日から3年以内に売却すれば適用可能です(期限後申告・修正申告であっても相続税を納付していれば対象)。ただし状況によって異なるため、税理士に相談することを強くお勧めします。

3000万円特別控除と取得費加算特例は両方使えますか?

原則として、同一物件への重複適用はできません。どちらを使うかは、譲渡価格・相続税額・取得費などの条件によって変わります。税理士に試算してもらって有利な方を選択してください。なお、3000万円特別控除の適用期限は2027年12月31日までです。

相続した不動産に抵当権が残っています。売れますか?

売れますが、抵当権の抹消が必要です。被相続人がローンを組んでいた場合、売却代金でローンを完済して抵当権を抹消する「売却・同時決済」という形で手続きを進めます。司法書士が関与する売買では通常のフローとして対応されます。