2026年3月公表の国土交通省「令和8年地価公示」をもとに、千葉県内の市区町村別住宅地変動率を集計した。BayMapが公示地価データを市区町村単位で集計した結果、流山市が3年連続で県内トップの上昇率を記録した一方、南房総の市では下落・横ばいが続いていることが確認された。
エリアによる二極化は2024年から2025年にかけてさらに鮮明になっており、同じ千葉県内でも「上昇率13%」と「下落3%」が共存するという対照的な市場環境となっている。
2026年 千葉県 住宅地 地価変動率ランキング
以下の表は、BayMapが公示地価データを市区町村ごとに集計した2026年住宅地の平均変動率(地点数5件以上を有効とした)。
| 順位 | 市区町村 | 変動率 | 地価中央値 | 地点数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 流山市 | +13.5% | 18万円/㎡ | 25 |
| 2 | 松戸市 | +8.1% | 17万円/㎡ | 41 |
| 3 | 成田市 | +5.9% | 8万円/㎡ | 26 |
| 4 | 千葉市 | +5.3% | 15万円/㎡ | 102 |
| 5 | 柏市 | +5.0% | 14万円/㎡ | 64 |
| 6 | 習志野市 | +4.8% | 21万円/㎡ | 17 |
| 7 | 船橋市 | +4.6% | 20万円/㎡ | 81 |
| 8 | 木更津市 | +4.2% | 7万円/㎡ | 1 |
| 9 | 市原市 | +3.9% | 6万円/㎡ | 40 |
| 10 | 佐倉市 | +3.2% | 7万円/㎡ | 28 |
| 11 | 市川市 | +2.5% | 31万円/㎡ | 40 |
| 12 | 浦安市 | +2.2% | 39万円/㎡ | 12 |
| 13 | 野田市 | +2.0% | 6万円/㎡ | 26 |
| 14 | 東金市 | +1.7% | 3万円/㎡ | 5 |
| 15 | 館山市 | +0.2% | 3万円/㎡ | 3 |
| 16 | 茂原市 | ±0.0% | 3万円/㎡ | 7 |
| 17 | 鴨川市 | −0.5% | 2万円/㎡ | 1 |
| 18 | 銚子市 | −3.3% | 3万円/㎡ | 4 |
地価中央値は公示地点の㎡単価中央値。集計対象は住宅地のみ。
1位・流山市:3年連続10%超の異例の上昇
流山市の住宅地平均変動率は+13.5%。これは県内最高水準であり、過去3年(2024年+10.3%、2025年+13.9%、2026年+13.8%)を通じて2桁上昇が続いている。
地価の絶対水準は中央値18万円/㎡で東京都市部と比べれば依然として割安だが、2018年時点の12万円/㎡から8年間で約58%上昇しており、上昇幅の大きさは千葉県内随一だ。
上昇を牽引するのはつくばエクスプレス(TX)沿線3駅(流山おおたかの森・流山セントラルパーク・柏たなか)周辺の住宅開発と、流山市の積極的な子育て施策への評価がある。同市は保育所送迎バス事業など独自の子育て支援で全国的な注目を集め、子育て世代の流入が人口増加と地価上昇の双方を支えている。
2位・松戸市:加速する上昇基調
松戸市の変動率+8.1%は前年(+7.6%)から加速した。TX沿線の流山市・柏市の地価上昇が波及しており、松戸駅周辺や矢切・秋山といったJR武蔵野線・常磐線沿線の住宅地が支持を集めている。
地価中央値17万円/㎡はまだ都心比較で割安感があり、購入検討者の注目が集まっている。
市川・浦安の急減速に注意
2024年にそれぞれ10%前後の高い上昇率を記録した市川市(+10.7%→+2.5%)と浦安市(+9.9%→+2.2%)は、2026年に大幅に伸び率が鈍化した。価格水準は依然高く(市川市31万円/㎡、浦安市39万円/㎡)、割高感の高まりが需要を押し下げている可能性がある。
| 市区 | 2024年変動率 | 2025年変動率 | 2026年変動率 | 方向感 |
|---|---|---|---|---|
| 市川市 | +10.7% | +5.9% | +2.5% | 急減速 |
| 浦安市 | +9.9% | +7.6% | +2.2% | 急減速 |
| 流山市 | +10.3% | +13.9% | +13.8% | 高水準維持 |
| 松戸市 | +3.0% | +7.6% | +8.1% | 加速 |
| 千葉市 | +3.7% | +5.2% | +5.3% | 加速 |
市川・浦安は売却益確定の動きが出やすい局面とも解釈できる一方、流山・松戸・千葉市は上昇が継続ないし加速しており、売り手有利の状況が続いている。
下落・横ばいエリア:銚子・茂原・館山の構造的課題
県南・外房・北東部では低調な結果が続く。
**銚子市(−3.3%)**は3年連続の下落。人口減少と産業の縮小が地価を押し下げている。テレワーク移住の波及も限定的で、改善の兆しは現時点では見えにくい。
茂原市(±0.0%)や館山市(+0.2%)も実質横ばいにとどまる。コロナ禍のリゾート特需が終息し、成約までの時間が長くなっているという現場報告がある。
地価データを売却・購入判断にどう活かすか
地価変動率は「そのエリアの需要の強さ」を示す指標だが、個別物件の成約価格とは一致しない点に留意が必要だ。特に中古マンションの実取引価格は、建物の築年・階数・リフォーム状況によって大きく分散する。
エリアの地価トレンドを確認した上で、駅別のマンション実取引データと照らし合わせることで、より精度の高い価格判断ができる。
出典・参照
- 国土交通省「令和8年地価公示」(2026年3月)
- BayMap land_prices データベース(公示地価データを市区町村別に独自集計)
- 地点数が4件以下の市区町村は変動率の信頼性が低いため参考値として掲載
本記事に掲載したデータはBayMapが公開データをもとに独自に集計・加工したものです。個別物件の価格はエリアの平均値とは異なります。不動産取引の最終判断はご自身の責任において行ってください。