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住宅ローン審査に通りやすくする方法

住宅ローン審査の仕組み、金融機関が見るポイント、事前にできる対策を解説。年収倍率・返済比率・信用情報の改善方法まで。

最終更新:  出典: 国土交通省 不動産成約価格情報 / BayMap独自集計

住宅ローンの審査は、申し込めば自動的に通るものではありません。金融機関は申込者の返済能力と物件の担保価値を総合的に判断し、融資の可否と条件を決定します。審査の仕組みを正しく理解し、事前にできる対策を講じておくことで、希望する条件での借入が実現しやすくなります。

金融機関は何を見ているか

国土交通省の「民間住宅ローンの実態に関する調査」は、金融機関が融資審査で重視する項目を公表しています。回答した金融機関の割合が高い順に並べると、住宅ローン審査の全体像が見えてきます。

審査項目重視する金融機関の割合
完済時年齢98.5%
健康状態97.6%
借入時年齢97.5%
担保評価96.3%
勤続年数93.2%
年収93.0%
返済負担率92.0%
出典:国土交通省「民間住宅ローンの実態に関する調査」

最も重視されているのは完済時年齢です。多くの金融機関は完済時の上限を80歳に設定しており、45歳で35年ローンを申し込むと完済時80歳でぎりぎりになります。借入時年齢が高いほど返済期間が短くなり、月々の返済額が増えるため、審査上は不利に働きます。

健康状態が2番目に位置するのは、団体信用生命保険(団信)への加入が事実上の融資条件になっているためです。年収や返済比率に問題がなくても、健康上の理由で団信に加入できなければ融資が通らないケースは少なくありません。

担保評価は物件側の要素です。借入額に対して物件の担保価値が不足していると判断されれば、希望額を満額借りられないことがあります。築古の中古マンションや旧耐震基準の物件では、この点がハードルになりやすいです。

返済比率と年収倍率の基本

返済比率(返済負担率)

返済比率とは、年間のローン返済額が年収に占める割合のことです。住宅ローンだけでなく、カーローンやカードローンなど既存の借入の返済額も含めて計算されます。

フラット35の基準では、年収400万円未満の場合は返済比率30%以下、年収400万円以上の場合は35%以下が申込み条件です。民間銀行でも概ね同様の基準を採用しており、この範囲を超えると審査は厳しくなります。

ただし、審査に通る返済比率と無理なく返済できる返済比率は別の話です。審査基準の上限近くまで借りると家計が圧迫されるため、実際には手取り収入の25%以内に収めることが生活の余裕を保つ目安になります。

年収返済比率上限(フラット35基準)年間返済上限月々返済上限
300万円30%90万円75,000円
400万円35%140万円117,000円
500万円35%175万円146,000円
600万円35%210万円175,000円

年収倍率

年収倍率は、借入額が年収の何倍にあたるかを示す指標です。一般的には年収の5〜7倍が無理のない借入の目安とされています。金融機関によっては8倍程度まで融資するケースもありますが、倍率が高くなるほど返済負担は重くなり、金利上昇時のリスクも大きくなります。

年収500万円の場合、5倍なら2,500万円、7倍なら3,500万円が借入額の目安です。千葉県内の物件であればこの範囲で購入できるエリアは多く、無理のない資金計画を立てやすい環境といえます。

返済比率は既存の借入(カーローン・カードローン・奨学金返済等)も含めて計算されます。住宅ローン申込前に他の借入を整理しておくと、審査上の返済比率を下げることができます。

信用情報を事前にチェックする

信用情報とは

住宅ローンの審査では、申込者の信用情報が確認されます。信用情報とは、クレジットカードやローンの利用履歴、返済状況、延滞の有無などを記録したデータです。日本には3つの信用情報機関があり、金融機関はこれらの情報を照会して審査を行います。

CIC

クレジットカード会社や信販会社が主に加盟する機関です。クレジットカードの利用状況、携帯電話端末の分割払いの返済状況などが記録されています。

JICC(日本信用情報機構)

消費者金融やクレジットカード会社が加盟しています。カードローンやキャッシングの利用状況が主な記録対象です。

全国銀行個人信用情報センター

銀行や信用金庫が加盟する機関です。銀行のローン利用状況や、官報に掲載された自己破産などの情報が記録されます。

事前に自分の信用情報を確認する

これらの信用情報機関では、本人が自分の情報を開示請求できます。CICとJICCはインターネットから、全国銀行個人信用情報センターは郵送で請求可能です。手数料は各機関500〜1,000円程度です。

住宅ローンの申込み前に自分の信用情報を確認しておくと、予期しない延滞記録や誤登録に気づくことができます。過去にクレジットカードの引き落とし日に残高不足があった場合や、携帯電話の端末分割払いを滞納した場合には、信用情報に「異動」として記録されている可能性があります。異動情報は一般的に5年間残り、この間は住宅ローンの審査に大きな影響を与えます。

信用情報を改善するには

延滞などの事故情報がある場合、完済してから一定期間(通常5年)が経過すれば記録は消去されます。現時点で延滞がなくても、クレジットカードの利用枠(キャッシング枠を含む)が多すぎると審査上マイナスに働くことがあります。使っていないクレジットカードを解約し、キャッシング枠を削減しておくことは、地味ですが有効な対策です。

団信と健康状態の影響

団体信用生命保険の仕組み

団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの返済中に契約者が死亡または所定の高度障害状態になった場合に、保険金でローン残高が完済される仕組みです。民間の金融機関では団信への加入が融資の必須条件となっている場合がほとんどです。

団信の加入には健康告知が必要で、過去3年以内の病歴や現在の治療状況を申告します。告知内容によっては加入を断られることがあり、その場合は住宅ローン自体の融資が受けられなくなります。

既往症がある場合の選択肢

ワイド団信

通常の団信に加入できない方を対象とした、引受基準が緩和された団信です。高血圧や糖尿病、肝機能障害などの既往症があっても加入できる場合があります。ただし金利に0.2〜0.3%程度が上乗せされるため、総返済額は増加します。

フラット35(団信任意加入)

フラット35は団信への加入が任意です。団信に加入しない場合は金利が0.2%引き下げられます。ただし、団信なしで借りるということは、万一の際にローンが残るリスクを家族が負うことを意味します。民間の生命保険で同等の保障を確保できるかどうかを慎重に検討してください。

健康なうちに申し込む

団信の加入審査は住宅ローンの申込時に行われます。現在健康であっても、将来病気を発症すれば加入できなくなるリスクがあります。住宅購入を具体的に検討しているなら、健康状態に問題がないうちに事前審査を進めておくのが賢明です。

転職直後・自営業・契約社員の場合

転職直後

多くの金融機関は、勤続年数1〜2年以上を審査の目安としています。転職直後は収入の安定性を証明しにくいため、審査が厳しくなる傾向があります。同業種への転職で年収が上がっている場合は比較的審査が通りやすいものの、異業種への転向や試用期間中の申込みはかなり不利です。

住宅購入と転職の両方を予定している場合は、ローンの事前審査を転職前に済ませておくか、転職後1年以上経過してから申し込むのが現実的な対応です。

自営業・フリーランス

自営業者やフリーランスの場合、審査では直近2〜3年分の確定申告書と決算書が求められます。会社員の源泉徴収票1枚で済む場合と比べて、提出書類も多く、審査にかかる時間も長くなります。

審査で見られるのは売上ではなく所得(経費控除後の利益)です。節税のために所得を低く抑えていると、借入可能額が大幅に制限されます。住宅購入を視野に入れているなら、購入の2〜3年前から所得額を意識した確定申告を行うことが審査対策になります。

フラット35は民間銀行と比べて自営業者への審査が柔軟な傾向にあり、勤続年数の制限も緩やかです。変動金利で借りたい場合は、ネット銀行の中にも自営業者向けの条件を公開している金融機関があるため、複数社に相談することをお勧めします。

契約社員・派遣社員

契約社員や派遣社員の場合、金融機関によって対応が分かれます。フラット35は雇用形態による制限が少なく、安定した収入があれば申込み可能です。民間銀行では正社員以外の雇用形態を一律に不可とするケースと、年収や勤続年数によって個別に判断するケースがあります。

契約期間が短い場合や更新の見通しが不透明な場合は、収入の継続性を示す材料(契約更新の実績、同じ勤務先での勤続年数など)を用意しておくと審査の際に有利に働きます。

住宅ローン試算

月々の返済額を試算する

借入額・金利・返済期間を入力するだけで月々の返済額と総利息を試算できます。

ローンを試算する

事前審査を有利に進めるためにできること

事前審査と本審査の違い

住宅ローンの審査は、事前審査(仮審査)と本審査の2段階で行われます。事前審査は物件が確定する前でも申し込めるもので、年収や借入希望額などの基本情報をもとに、融資の可否を簡易的に判断します。通常は数日で結果が出ます。

本審査は売買契約後に行われ、物件の担保評価や申込者の詳細な信用調査を含む本格的な審査です。事前審査に通っていても本審査で否決されるケースは存在しますが、事前審査で承認を得ておくことで、物件探しや価格交渉を有利に進められます。

審査前にできる具体的な準備

既存の借入を整理することは、最も即効性のある対策です。カーローンやカードローンの残債は返済比率の計算に含まれるため、完済できるものは住宅ローン申込前に完済してください。リボ払いの残債がある場合も同様です。

使っていないクレジットカードの解約も効果があります。カードを保有しているだけで「潜在的な借入枠」として評価される場合があり、枚数が多いとマイナスに働く可能性があります。

頭金を用意することも審査にはプラスです。物件価格の10〜20%の頭金があれば、借入額が減って返済比率が下がるだけでなく、金融機関から見た貸倒リスクも低下します。フルローン(頭金なし)でも審査に通るケースは多いですが、頭金があった方が条件は有利になります。

複数の金融機関に申し込む

住宅ローンの審査基準は金融機関によって異なります。A銀行で否決されてもB銀行では承認されることは珍しくありません。事前審査は複数の金融機関に同時に申し込んでも問題ないため、2〜3社に並行して申し込むのが一般的です。

メガバンク、地方銀行、ネット銀行、信用金庫では審査の傾向が異なります。自分の属性(年収、雇用形態、勤続年数)に合った金融機関を選ぶことも重要です。ネット銀行は金利が低い反面、審査基準が画一的で融通が利きにくい傾向があり、地方銀行や信用金庫は金利がやや高めでも個別の事情を考慮してくれる場合があります。

審査に落ちた場合の対処法

否決理由を推測する

金融機関は審査の否決理由を詳しく開示しません。ただし、自分の状況を客観的に振り返れば、原因を推測することは可能です。返済比率が基準を超えていないか、信用情報に問題がないか、勤続年数は十分か、物件の担保評価に問題がなかったかを順に確認してください。

信用情報に心当たりがある場合は、CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターに開示請求を行い、記録内容を確認してください。

別の金融機関に申し込む

前述のとおり、審査基準は金融機関ごとに異なります。メガバンクで否決された場合でも、地方銀行や信用金庫、フラット35では通る可能性があります。特にフラット35は、民間銀行と審査の視点が異なるため、民間で否決された方の受け皿になりやすい商品です。

借入額を見直す

希望借入額が年収に対して高すぎる場合は、借入額を下げることで審査に通りやすくなります。物件の予算を引き下げるか、頭金を増やして借入額を減らすことを検討してください。千葉県内であれば、エリアを少し広げるだけで物件価格が数百万円単位で変わることがあります。BayMapの駅一覧で候補エリアの相場を比較し、予算に合った物件を探してみてください。

時間をおいてから再申込みする

信用情報に延滞記録がある場合は、完済から5年が経過するまで記録が残ります。転職直後で勤続年数が不足している場合は、1〜2年待つことで状況が改善します。急いで申し込んで否決を重ねるよりも、原因を解消してから再度申し込む方が結果的に近道です。

返済額を詳しく試算する

月々の返済額、総利息、金利差の比較は、住宅ローンシミュレーター本体で確認できます。

住宅ローンシミュレーターを見る

住宅ローンに強い専門家に相談する

自分で原因が特定できない場合は、住宅ローンに詳しいファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーに相談する方法もあります。金融機関の審査傾向に詳しい専門家であれば、属性に合った金融機関の選び方や、審査を通しやすくするための具体的なアドバイスを受けられます。不動産会社の担当者が提携先の金融機関を紹介してくれるケースもあるため、物件探しと並行して相談してみてください。

住宅ローンの金利タイプの選択については変動金利 vs 固定金利の選び方、ローンの基本的な仕組みについては住宅ローンの基本も合わせて参考にしてください。