BayMap

不動産会社の選び方・囲い込みを避ける方法

不動産売買における仲介会社の選び方、両手仲介・囲い込みの仕組みと見抜き方、レインズのステータス管理の活用法を解説します。

最終更新:  出典: 国土交通省 不動産成約価格情報 / BayMap独自集計

不動産の売買は人生の中で何度も経験するものではありません。だからこそ、取引を仲介する不動産会社の選び方が結果を大きく左右します。仲介手数料の仕組みを正しく理解し、囲い込みのリスクを知り、自分の利益を守るための知識を身につけることが、納得のいく取引への第一歩です。このガイドでは仲介の構造から2025年の制度改正まで、実務に即した内容を整理します。

仲介会社の役割と手数料の仕組み

不動産の売買において、仲介会社は売主と買主の間に立ち、物件情報の流通・価格交渉・契約手続き・引渡しまでの一連のプロセスを取りまとめる役割を担います。個人間で直接売買することも法律上は可能ですが、重要事項説明の義務や契約書の作成、住宅ローン審査への対応など、専門知識を要する工程が多いため、実際にはほとんどの取引で仲介会社が介在します。

仲介会社に支払う手数料は、宅地建物取引業法で上限が定められています。売買価格が400万円を超える場合、上限は「売買価格 x 3% + 6万円」に消費税を加えた金額です。たとえば3,000万円の物件であれば、96万円に消費税を加えた105.6万円が上限となります。この金額はあくまで上限であり、交渉によって引き下げられるケースもありますが、実務上は上限額をそのまま請求する会社がほとんどです。

2024年7月1日の法改正では、空家等の流通促進を目的として手数料の取り扱いが一部変更されました。売買価格が800万円以下の物件について、仲介手数料の上限が33万円(税込)に引き上げられています。これは低価格帯の物件では従来の計算式による手数料が少額になり、仲介会社が取り扱うインセンティブが低かったことへの対応策です。千葉県内でも郊外の築古戸建てや小規模マンションなど、800万円以下の物件は一定数存在するため、この改正は売主側にとっても物件を扱ってもらいやすくなるという意味で影響があります。

出典:国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(2024年7月改正)

手数料が発生するタイミング

仲介手数料は成功報酬です。媒介契約を締結しただけでは支払い義務は生じず、売買契約が成立した時点で請求権が発生します。一般的には売買契約時に半額、残代金決済・引渡し時に残りの半額を支払う形が多く採用されています。

なお、媒介契約の途中解約については、専任媒介・専属専任媒介の場合でも3ヶ月の契約期間中に解約すること自体は可能です。ただし、すでに不動産会社が広告掲載などの実費を支出していた場合には、その費用の精算を求められることがあります。契約前に解約時の取り扱いについても確認しておくとよいでしょう。

両手仲介と囲い込みとは

不動産取引では、売主側の仲介会社と買主側の仲介会社が別々に存在する「片手仲介」と、1社が売主・買主の両方を仲介する「両手仲介」の2つの形態があります。

片手仲介の場合、仲介会社が受け取る手数料は売主または買主の一方からのみです。両手仲介の場合は、1社が売主と買主の双方から手数料を受け取るため、1つの取引で手数料収入が2倍になります。両手仲介そのものは違法ではなく、売主・買主の双方が納得のうえで取引が成立するのであれば問題ありません。

しかし、両手仲介による手数料の最大化を優先するあまり、自社で買主を見つけようとして他社からの購入申し込みを意図的に排除する行為が発生することがあります。これが「囲い込み」です。

囲い込みの具体的な手口

囲い込みの典型的なパターンはこうです。売主から媒介契約を受けた不動産会社は、法律上の義務に従ってレインズ(不動産流通標準情報システム)に物件を登録します。レインズに登録されれば、全国の不動産会社がその物件情報を閲覧し、買主に紹介できるようになります。ところが囲い込みを行う会社は、レインズには登録するものの、他社から「この物件を紹介したい」と問い合わせがあった際に「商談中です」「売主の都合で案内できません」と断ります。実際には商談中ではなく、自社で買主を見つけるための時間稼ぎです。

この行為の問題は、売主の利益が損なわれる点にあります。他社経由の購入希望者を排除することで、より高い価格で購入する意思のある買主との接点が失われます。また、買主の選択肢を人為的に狭めることで、市場の健全な価格形成を歪めることにもなります。売主は自分の物件が囲い込まれていることに気づきにくいため、長期間にわたって不利益を被るケースも報告されています。

囲い込みは大手仲介会社・中小を問わず発生しうる問題です。業界団体や国土交通省への相談件数は年々増加傾向にあり、不動産流通の透明性を阻害する行為として社会的な批判も強まっています。

2025年のレインズ制度改正

こうした囲い込み問題に対処するため、国土交通省は2025年1月からレインズのステータス管理機能を強化しました。

売主による登録状況の確認

改正の柱は、売主自身がオンラインでレインズの登録状況を確認できるようになった点です。従来、レインズの画面にアクセスできるのは宅建業者に限られており、売主は自分の物件がどのような状態で登録されているかを直接確認する手段がありませんでした。改正後は、売主に対してレインズの登録証明書が交付され、そこに記載されたIDを使ってオンラインで物件のステータス(公開中・紹介停止中)を確認できます。

紹介停止の制限

もう一つの重要な変更は、物件のステータスを「紹介停止」に変更する際に、売主の書面による同意が必要になったことです。従来は仲介会社の判断だけでステータスを変更できたため、売主に無断で紹介停止にするという囲い込みの温床になっていました。売主の明示的な同意を要件とすることで、不透明なステータス変更を防ぐ仕組みが整備されたことになります。

出典:国土交通省「レインズ(指定流通機構)におけるステータス管理の運用見直し」(2025年1月施行)

この改正によって囲い込みが完全になくなるわけではありませんが、売主が自分で状況を確認できるという透明性の向上は大きな前進です。

囲い込みを見抜く方法

制度改正が進んでも、囲い込みを完全に防ぐには売主自身の注意が欠かせません。以下の方法で状況を確認することができます。

レインズ登録証明書の交付を求める

専任媒介または専属専任媒介で契約した場合、仲介会社にはレインズへの登録義務があります。登録後に交付される登録証明書を必ず受け取り、記載されたIDでオンラインのステータスを定期的に確認してください。ステータスが「紹介停止中」になっている場合は、その理由を仲介会社に問い合わせます。自分が同意した覚えのない紹介停止が行われていれば、囲い込みの可能性があります。

他社に物件の問い合わせを依頼する

知人や家族に協力してもらい、別の不動産会社を通じて自分の物件について問い合わせてもらう方法があります。他社からの問い合わせに対して仲介会社が「商談中」「案内不可」と回答しているにもかかわらず、実際には商談が進んでいないのであれば、囲い込みが行われている可能性が高いと判断できます。

内見や問い合わせの状況報告を求める

仲介会社には、定期的な業務報告の義務があります。専属専任媒介では1週間に1回以上、専任媒介では2週間に1回以上の報告が法律で定められています。報告の際に、他社からの問い合わせ件数・内見の申し込み件数・実際の内見件数を具体的な数字で確認しましょう。「反響があまりない」という曖昧な報告だけで数週間が過ぎる場合は注意が必要です。

複数社にコンタクトしてから媒介契約を結ぶ

媒介契約を結ぶ前の段階で、複数の不動産会社に査定を依頼し、各社の対応・提案内容・販売戦略を比較することが囲い込みリスクの予防にもつながります。囲い込みを行う傾向のある会社は、極端に高い査定額を提示して専任媒介を獲得しようとするケースがあります。他社と比べて不自然に高い査定額を提示する会社には、その根拠を詳しく確認してください。

媒介契約の3つの種類と選び方

仲介を依頼する際には、売主と不動産会社の間で媒介契約を締結します。媒介契約には3つの種類があり、それぞれ制約と義務の範囲が異なります。

項目専属専任媒介専任媒介一般媒介
依頼できる会社数1社のみ1社のみ複数社可
自己発見取引不可
レインズ登録義務5営業日以内7営業日以内義務なし
業務報告頻度週1回以上2週に1回以上義務なし
契約期間上限3ヶ月3ヶ月制限なし(慣行で3ヶ月)
出典:宅地建物取引業法第34条の2

専属専任媒介

1社だけに依頼し、売主が自分で買主を見つけた場合(自己発見取引)でも仲介会社を通す必要がある契約です。不動産会社にとってはもっとも独占度が高いため、積極的な販売活動が期待できます。一方で、1社に完全に依存する形になるため、その会社が囲い込みを行った場合のダメージも大きくなります。

専任媒介

1社のみに依頼する点は専属専任と同じですが、売主自身が買主を見つけた場合は仲介会社を通さず直接取引することが認められています。知人や親族への売却の可能性がある場合に選ばれることがあります。レインズへの登録義務と定期報告義務があるため、販売活動の透明性は一定程度確保されます。

一般媒介

複数の不動産会社に同時に依頼できる契約です。各社が競争して買主を探すため、理論上は幅広い買主にリーチできます。ただし、不動産会社の側から見ると、他社に先を越される可能性があるため、広告費をかけた積極的なプロモーションに踏み切りにくいという面があります。人気エリアの物件や希少性の高い物件であれば一般媒介でも十分に買い手がつきますが、売りにくい物件では各社の優先度が下がり、結果的に販売活動が停滞するリスクがあります。

どの契約を選ぶべきか

千葉県の中古マンション売却では、信頼できる1社を見つけて専任媒介を結ぶケースが多く見られます。レインズ登録義務と定期報告義務がある専任媒介は、囲い込みの監視がしやすい点でバランスが取れています。ただし、浦安・市川・船橋といった流動性の高いエリアでは一般媒介で複数社に競わせる戦略も有効です。物件の特性とエリアの市場状況に応じて判断してください。

不動産会社を選ぶときの確認ポイント

最後に、仲介を依頼する不動産会社を選ぶ際に確認しておきたい点を整理します。

売却実績と地域への精通度

その会社が対象エリアでどの程度の売却実績を持っているかは、販売力を測る基本的な指標です。全国展開の大手であっても、特定の駅や町名単位での実績が乏しい場合があります。逆に地元密着の中小会社が、そのエリアの購入希望者リストを豊富に持っていることもあります。査定時に「直近1年でこのエリアで何件成約しましたか」と具体的に聞くことで、地域への精通度を確認できます。

販売戦略の具体性

「大手ポータルサイトに掲載します」だけではなく、写真の撮り方、間取り図の作成品質、物件紹介文のクオリティ、オープンハウスの実施予定など、具体的な販売活動の計画を確認してください。インターネット上での物件掲載は買主が最初に目にする情報であり、写真の質と掲載情報の充実度が内見数に直結します。

担当者の対応品質

不動産取引は会社対会社ではなく、担当者個人の力量に依存する部分が大きい業界です。査定時の説明がわかりやすいか、質問に対して根拠をもって回答しているか、レスポンスの速度は十分か、といった点を複数社の担当者を比較して判断します。3ヶ月以上にわたる売却活動を伴走するパートナーですから、コミュニケーションの相性も無視できない要素です。

囲い込みをしない姿勢

直接的に「御社は囲い込みをしませんか」と質問することに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、この質問への回答は会社の姿勢を測るリトマス試験紙になります。囲い込みの問題を認識し、レインズのステータス管理を売主と共有する姿勢を見せる会社であれば、透明性の高い取引が期待できます。逆に、質問に対して曖昧な回答をしたり、囲い込みという言葉自体を避けたりする会社には注意が必要です。

免許番号と行政処分歴

不動産会社を選ぶ際、宅地建物取引業の免許番号も参考になります。免許番号のカッコ内の数字は更新回数を表しており、数字が大きいほど営業年数が長いことを意味します。ただし、営業年数が長いことと仲介品質が高いことはイコールではありません。国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」では、過去に行政処分を受けた業者の情報を検索できるため、契約前に確認しておくことをすすめます。

不動産会社の選定は、売却結果に直結する意思決定です。手数料の安さや査定額の高さだけで判断するのではなく、取引全体を通じて自分の利益を守ってくれるパートナーかどうかという視点で選ぶことが、後悔のない取引につながります。

売却相場を複数社で比較する

BayMapのデータで相場感をつかんだら、実際の売却価格の目安を複数社の査定で確認できます。無料で依頼できます。

一括査定を比較する