公開日:
船橋市の地価と中古マンション相場(2026年)
2026年の公示地価(国土交通省)が公表されました。船橋市は住宅地・商業地ともに上昇が続いていますが、駅や地区で数値の開きが大きく、「船橋全体が値上がり」という見方は実態を正確に反映しません。
この記事では、市全体の地価動向(2026年公示地価)と、駅別・町丁目別の中古マンション相場(2025年7〜9月期の取引データ)をもとに、船橋市の不動産市場を整理します。
2026年の地価 住宅地+4.67%、商業地+9%
2026年公示地価の船橋市内サンプル地点では、住宅地の平均変動率は+4.67%。2年連続の上昇です。商業地は+9.0%と住宅地を大きく上回る伸びになりました。
商業地の高い上昇率は、船橋駅南口・津田沼エリアの再開発と商業集積の継続を反映した数値です。住宅地の動向とは性質が異なるため、切り分けて読む必要があります。
10年スパンで見ると南北格差が鮮明
地価上昇は市内で均一に起きているわけではありません。10年間の累積上昇率を見ると、格差の構造がはっきりします。
| エリア | 10年累積上昇率 | 特徴 |
|---|---|---|
| JR船橋駅周辺 | +91% | 都心直結・再開発の恩恵 |
| 南船橋・大神宮下 | +90%超 | 京葉線沿い・湾岸開発 |
| 北習志野・高根公団 | 限定的 | 住宅街として安定だが上昇は緩やか |
| 二和向台・小室・三咲 | +5〜15% | 北部内陸・利便性が限定的 |
JR総武線・京葉線沿いの都心アクセス良好駅に需要が集中し、北総線・新京成線の北部内陸駅は取引件数・価格ともに低水準が続いています。
住宅地サンプルの年間変動率も、地点によって最大+10.7%から±0%まで分散しており、「市平均+4.67%」は立地によるばらつきを覆い隠す数字です。
主要駅ごとの中古マンション相場
以下のマンション相場は、2025年7〜9月期(国土交通省・不動産取引価格情報)の取引データにもとづくBayMap集計値です。
中古マンション㎡単価(中央値)の市平均は35.5万円/㎡ですが、駅間の差は非常に大きく、最高の京成船橋(85.3万円/㎡)から最低の滝不動(3.2万円/㎡)まで約27倍の開きがあります。
取引が集中する3駅
市内の中古マンション取引は、特定の駅に集中しています。
| 駅 | 取引件数 | ㎡単価 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 船橋 | 173件 | 41.8万円 | JR総武線・東武アーバンパークライン |
| 西船橋 | 103件 | 39.2万円 | JR総武線・東西線直通 |
| 下総中山 | 53件 | 34.6万円 | JR総武線 |
この3駅だけで市内取引の約5割を占めます。船橋市のマンション市場を語るなら、まずこれらの駅の動向を押さえるのが基本です。
注目すべき駅
南船橋は71.6万円/㎡・取引42件と市内でも高い水準です。ただし後述の水害リスクもあり、立地特性の理解が前提になります。
西船橋・原木中山は東京メトロ東西線直通で都心アクセスが良好。堅調な需要が続いています。
北部の小室(9.7万円)・馬込沢(11.4万円)・飯山満(15.6万円)は市内で最も手頃な水準ですが、南部沿線との格差は大きく、同じ船橋市でも市場の性格が異なります。
取引件数が5件未満の駅(京成中山など)は㎡単価の信頼性が低く、トレンド判断には向きません。駅別の詳しいデータは駅一覧で件数とあわせて確認してください。
町丁目ごとの差 船橋駅圏内でも4倍開く
「船橋駅が最寄り」というだけでは相場は分かりません。同じ船橋駅圏でも、町丁目によって㎡単価には大きな差があります。
| 町丁目 | ㎡単価 | 駅平均との比較 |
|---|---|---|
| 本町(駅徒歩圏) | 73.8万円 | +77% |
| 夏見台(駅圏郊外) | 18.7万円 | −55% |
駅前のマンションと、バス便エリアの物件で約4倍の価格差。「船橋駅」というラベルでは粒度が粗すぎるということです。
中古マンションの購入検討では、駅名ではなく具体的な町丁目と徒歩分数まで落として相場を確認するのが鉄則です。BayMapの各駅ページでは徒歩距離別の価格分布も確認できます。
地形・水害リスクの視点
価格が上昇している駅の中には、地形リスクが高い立地も含まれます。価格だけで判断せず、地形と海抜の確認が欠かせません。
| 駅 | 低地率 | 平均海抜 | 市場動向 |
|---|---|---|---|
| 南船橋 | 62.5% | 2.6m | スコア82・取引活発 |
| 原木中山 | 高い | 1.7m | 東西線直通で堅調 |
| 小室 | 高い | 約2m | 取引は低水準 |
特に南船橋は低地率62.5%・平均海抜2.6mと、湾岸立地リスクが市内で最も高いエリアのひとつです。価格上昇が続いているとはいえ、気候変動リスクが中長期の保有コストや資産性にどう影響するかは不確定です。
購入前には千葉県・船橋市のハザードマップで浸水想定区域を必ず確認してください。
このデータを見るときのポイント
地価とマンション相場は別指標です。公示地価は更地の公的評価額(2026年1月1日時点)、マンション㎡単価は建物込みの実取引価格(2025年7〜9月期)。両者は連動する傾向がありますが、調査時点も算出方法も異なるため直接比較はできません。それぞれの基本的な読み方は地価の見方ガイドで解説しています。
平均値に引きずられないことも重要です。住宅地+4.67%は市全体の平均であり、北部ではほぼ横ばい、南部では+10%超の地点もあります。自分が検討しているエリアの個別地点を確認してください。
南北の格差は構造的なものです。都心アクセスと再開発の恩恵が集中する南部沿線と、利便性が限定的な北部内陸では、需要構造そのものが異なります。この格差は一時的なものではなく、今後も続く可能性が高いと考えられます。
